《「松江城VR」「田和山遺跡AR・VR」事業の推進》
同志社大学文化遺産情報科学調査研究センターとの連携事業の一環で、島根県松江市の文化財保存活用地域計画に協力しています。現在、「松江城VR」(6DoF)や田和山遺跡AR・VR事業の推進を担っており、特に「松江城VR」では、国宝松江城の魅力を登閣できない障害をお持ちの方にもバリアフリーにする仕掛けとして、現在、松江歴史館にも展示されています。
島根県松江市での事業は、主に同志社大学文化遺産情報科学調査研究センターと松江市との連携協定に基づいた事業を、弊社として技術協力しています。松江市では、令和4年度から松江市文化財保存活用地域計画(協議会に弊社代表取締役津村宏臣が委員として参画)に基づいた基本方針が制定されています。1)文化財の確実な保存と価値の発信・共有、2)文化財を生かしたまちづくり、3)文化財の保存・活用を支える人づくり・仕組みづくり、という3つの基本方針のもの、文化財の調査研究、文化財の活用、歴史文化を生かしたまちづくり等の各課題に具体的に連携した事業をおこなっています。
現存天守5番目の国宝に指定された松江城天守閣の内部を3D計測後にモデル化し、これをVRコンテンツとして展開する「松江城VR」は、松江市と同志社大学文化遺産情報科学調査研究センターとの協定のもと連携し、現在、松江歴史館に展示をされています。車いすの利用者でも天守閣最上階からの宍道湖や島根半島の景観が一望できるよう、VRコンテンツ(6DoF)を展示しています。
また、2022(令和4)年度に国指定史跡となった、田和山遺跡・神後田遺跡を中心として、松江市南郊の遺跡集中域について、「田和山遺跡AR・VR事業」検討チームが発足し、弊社も地中レーダー探査や古環境復元、景観復元や測量事業で連携しています。ドローンによる空撮、田和山・神後田両遺跡の古景観復元、地質・地形調査などを通じ、AR・VRコンテンツ制作に欠かせない基礎情報の集積をはじめました。松江市の目指す「地域に根ざした文化財」の在り方の創造という、大きな目標と、両遺跡が所在する田和山史跡公園、それを中心とした乃木地区を取り巻く地域社会の活性化を市・大学とともに推進しています。
令和4年度には、このほかに松江市生馬地区において、松江市、松江市生馬公民館、同志社大学文化遺産情報科学調査研究センターと連携し、東生馬神社、西生馬神社の3D計測と、平ノ前廃寺跡の地中レーダー探査調査を実施しました。東生馬・西生馬神社は、それぞれ「出雲風土記」に記される道反大神と八尋鉾長依日子命とされます。平ノ前廃寺については、令和5年に発掘調査報告も再整理・出版され、地中に残された構造と発掘調査の関連が評価されています。
これらの他、計画に基づく複数の「ストーリー」と関わり、今後も松江市・同志社大学文化遺産情報科学調査研究センターと連携しながら事業推進を担っていく予定です。