
先日本欄でご紹介した、奈良県明日香村の特別史跡・石舞台古墳における調査・3D撮影の成果をもとに、スマートフォンで体験可能な「フルダイブVR」のサンプル映像を制作しました。
本ページでは、その一部をデモ映像として公開いたします。
一般的に「フルダイブVR」という言葉は、ゴーグルやコントローラーを操作して体験する従来型VRとは異なり、五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)すべてを仮想空間に接続し、意識そのものが没入する究極的なVR技術を指す概念として語られることが多くあります。
しかしながら、そうした意味でのフルダイブVRは、現時点ではSF的要素も含む「未だ実現途上の技術概念」でもあります。
撮影方法、データ構造、表示・操作インターフェース、さらにはスマートフォン性能とのバランスなど、多くの点で試行錯誤が続いている構築途上のテクノロジーであることも事実です。
弊社では本取り組みにおいて、「フルダイブVR」という言葉を、
・ゴーグルやコントローラー操作を極力意識させず
・「見る」「操作する」という行為を超えて
・空間の中に“入り込んだ感覚”を重視し
・現地に立っているかのような没入体験を目指す
といった、体験設計上の方向性を示す表現として用いています。
あわせて「専用ゴーグルを必要とせず、スマートフォン単体でも没入感を得られること」を、ひとつのテーマとしました。
今回の石舞台古墳のサンプル映像は、「現段階でどこまでできるのか」を検証するためのデモンストレーションであり、今後の改良や発展を前提とした試作的位置づけとなります。
石舞台古墳のような貴重な史跡は、保存と公開の両立、現地に行くことが難しい方への体験提供、理解を深めるための補助的手段といった観点から、デジタル技術との親和性が非常に高い分野でもあります。
今回の取り組みが「歴史・文化資産とデジタル技術をつなぐ表現手法」のひとつとして、今後につながっていけばと考えています。


